アメリカのお菓子との出会い

今から30年ほど前、私はアメリカ南部ルイジアナ州の州都バトン・ルージュという所に留学していました。当時の私はアメリカの食生活で太る事を恐れ甘いものはなるべく避けるようにしていました。スーパーのベーカリーで見かけたバースデイケーキも派手なクリームの大きなものでそれに比べて日本のケーキは繊細だなぁと思ったものです。

そんなわけでお菓子には距離を置いていた私ですが唯一興味を持っておいしいと感じたのはクッキーでした。それは日本で食べるクッキーとは全く食感が違っていて柔らかくふにゃっとしていました。日本で一般に美味しいと言われるクッキーの食感はサックリとかサクサクだったのでけっこうなカルチャーショックだったと思います。

アメリカ人は本当にお菓子好きでキャンパス内にはあちこちにチョコバーなどの自動販売機があり研究室に行くと誰かが買ってきたドーナツが置いてあったりと常に甘いものが身近にありました。

またルイジアナはフランスの統治下だった時代の名残でベニエと言うフランス風のドーナツが有名で、キャンパス内外のカフェでもベニエはよく食べましたが特別心惹かれる、といったものではありませんでした。

お菓子のイメージが一新?

そんなお菓子のイメージが一新したのはある黒人女性との出会いからでした。 私はキャンパス内のカフェテリアでアルバイトをしていたのですが、そのカフェテリアで働くベアトリス(ビー)と一緒にトレーに残されたデザートについてあれこれ話をしているうちに彼女は「料理が好きなのね?じゃこの本を貸してあげる。」と一冊の本を持ってきてくれました。

その本はバトン・ルージュ近辺の主婦たちが地域の新聞に投稿した自慢の料理をまとめたものでケイジャン、クレオールと言ったルイジアナ特有の料理からデザートまで膨大な数のレシピが載っていました。ビーは特にケーキが上手で彼女の作るクリームチーズパウンドケーキはそれはそれは美味しいものでした。

アメリカ人にとってデザートは日常的なもの

アメリカ人にとってデザートは日常的なものです。クッキーやカップケーキも大量に作り子供のクラスへプレゼントしたり資金集めのベークセールで販売します。各家庭にずっと受け継がれてきたおばあちゃんのレシピや、また地域のお菓子のコンテストで優勝した自慢のオリジナルレシピなど皆何かしら定番のお菓子を持っています。また特別なレシピがなくてもスーパーに行けば卵と油と水を混ぜるだけで簡単に焼けるケーキミックスが山のように売られていてそれを使ったレシピも山のようにあるのです。

私の定番のお菓子はライスクリスピーのマシュマロトリートでした。パーティーに持参すると「これ僕の大好物だよ」と言われたことも・・・。またケーキミックスを使用してもデコレーションには彼らの自由で豊かな発想を活かして見るからに楽しいケーキに仕上げてしまいます。

 

ビーが貸してくれた本は書き写したりコピーをとったりして日本に持ち帰りましたがそのお菓子のレシピは私の子供たちの幼稚園や学校のPTAで大活躍しました。子供たちが小さい頃は夕食の支度をしながらクッキーの生地を作り子供たちが寝てからオーブンで焼くといったふうでした。

家事の合間にちょっとコーヒーを飲みながら一口かじるコーヒーケーキやクッキーはホッとさせてくれるものです。友人を招いておしゃべりしながらいただくケーキも手作りだとなおさら話に花が咲きます。今は子供たちも皆成人になり彼らのためにお菓子を作るということは少なくなりましたが、ケーキやクッキーを作っているとアメリカでの生活や私の子供たちの小さかった頃のことを思い出します。

温かい手作り焼き菓子をぜひ皆さんにも食べていただきたい

海外で修業してきたパティシエが作る繊細なフランス菓子や洋生菓子も大好きですが、アメリカの素朴な焼き菓子は私の人生の一部です。そんな温かい手作りの焼き菓子をぜひ皆さんにも食べていただきたい・・・そんな気持ちからMaySea’sをオープンさせました。

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